脚本を書こう

どのシーンから書き始めてもいいが、最初にあなたの脚本を読む人は、最初のページ!もちろん観客も最初からだということを忘れないでください。

<脚本を書こう・目次>
1.脚本執筆の直前アドバイスは?
2.セリフについてあれこれ
3.脚本執筆後のアドバイスは?

「脚本執筆の直前アドバイスは?」

冒頭の3ページ以内に謎を作れ!
なぜ刑事ドラマは見続けないと気が済まなくなるかといえば、冒頭すぐに起こるショッキングな事件を目にしてしまったからだろう。ここで視聴者は、この人はなぜ殺されたのだろう?という謎が生まれる。そして名物刑事が登場し、どう解決するのだろうという興味がわく。
ここ数年、なかなかヒット作が出ないテレビドラマ業界だが、刑事ドラマは安定的な視聴率がとれる理由は、こういうところにある。一瞬で視聴者をテレビの方へ引きずり込める手法です。
しかし、冒頭で起きる事件はやり尽くされ、観ている方も作る方も飽きているのが現状。とはいっても、冒頭すぐに起こる謎は、視聴者の興味を削ぐことはない。冒頭に謎を用意することは、必要な手順になっているので、謎を見せられないかと検討してみましょう。

「セリフについてあれこれ」

”セリフは嘘つき”
脚本を初めて書くとき、なんでもかんでもセリフで言いたがってしまいます。なぜならセリフで観客に伝えなきゃいけないと思い込んでいるからです。
しかし、セリフで解決できてしまう映画やドラマほどつまらないものはありません。テレビや映画は、映像で語るものです。耳で聞けば済むような物語ではいけない。映像とともに楽しむ工夫がいります。セリフでは真実を語らず、行動や態度で徐々に観客に真実が伝わるようにする。そしてラストに向かって真実のセリフが聞けると、観客は納得し満足する。
だからセリフは嘘つきである方が、後の変化に面白さが増します。

セリフ力とは?
良いセリフを書こうとすると、案外作家は萎縮してしまう。良いセリフはキャラクター自身が語りだしたときに生まれる気がします。だからキャラクター設定は重要。そのキャラクターしか言えないセリフが必ずありますので、キャラクターに語りかけて、辛抱強く待ちましょう。自分の言葉をセリフにすると狙いがバレます。
セリフは必ず音読をして確かめましょう。印象が違うセリフは必ず違和感があるし、話すテンポ、間合いも確認できます。
また、セリフを話す人物の名前を隠しても、誰が言ってるのか分かれば、セリフはそのキャラクターの言葉で語られていると思います。キャラクターの話し方のくせ、方言など特徴づけてみるといいです。

長ゼリフは要注意!
演説みたいに長いことキャラクターにしゃべらせる人がいますが、それはまったくの逆効果だと思います。名ゼリフは、案外、簡潔に語る。
決めゼリフは、他の場所で言ってもよかったが、あえて絶頂の時にその言葉を使うようにしましょう。観客が、「待ってました!」と思うところまで引っ張る。
饒舌になりだしたら、あえて行動やリアクションで示すことはできないかと模索する。行動やリアクションは、受け手によって受け取り方が変わります。または、裏腹なことを話す、嘘をつくなど、一本調子にならないようにする。人は案外、本当のことを語りません。本当のことは無意識に行動で出る。行動した結果に対する反応に、本音が見え隠れします。映像で語るのが映画やテレビドラマなので、セリフに頼らないということをまず心がけてください。
良いセリフは、言葉の羅列から起こるのではなくて、キャラクター同士の行動や反応の延長線上に起こる奇跡みたいなものです。セリフは、言葉単独で捉えるのではなく、全体の流れから見るようにしましょう。

会話の役割は?
会話の役割は、ストーリーを前に転がすことです。言葉を通して、その人物の特徴を表し、人間関係を示すこともできます。敬語や方言、乱暴な物言いなどの使い分けで観客はどういう人物か想像します。
つまらない会話は、律儀すぎるセリフやストーリーが前に進まないときです。律儀すぎるとは、質問に対して、ちゃんと答えるというような、問答を繰り返す会話です。また、シーンのはじめは必ず「こんにちは!」から書くみたいなことも必要なければいりません。ドラマ上においても、そのシーンだけをとっても、特にそれが何かストーリー上で効果を発揮する会話でなければどんどん省いて、展開を考えてください。

説明ゼリフになっていないか?
説明ゼリフ「コンビニの前でエナジードリンクを飲んでるのは、桃太郎だ。あいつ昨日、キジ子にこっぴどくフラれたからなー。声かけようかなー。でも、話長いんだよなー。あー、めんどくさい。……けど、元気かって、声かけてやろうっと!」
この例は、やり過ぎですが、説明ゼリフには、状況設定を説明してしまうものと、人物の心情を説明する2種類があります。観ている方は、かなり違和感を覚えます。しかし、プロでも多くの脚本家がやりがちです。それはなぜなのかというと、たぶん作者自身がそのキャラクターについてあまりよくわかっていない。あるいは、その展開の状況設定があいまいなまま書きだしてしまった。単純に楽をしたい、とか、締切りに焦ってるなどがあるかもしれません。説明ゼリフで補って、なんとか納得させようとしている。
セリフを書く前は、このシーンでは、何を書くのかをしっかりとまとめ、考え抜いてから書きだしてください。シーンの役割を決めておけば、説明ゼリフは減ると思います。

「脚本執筆後のアドバイスは?」

10ページ以内に、主要人物の紹介、ジャンル、ドラマ上の目的は提示できたか?
テレビドラマなら、10分観てつまらないならチャンネルを変えられることを覚悟した方がいいとよく言われます。
では、つまらないと感じるのはどういうときか。
ストーリーに謎がない。キャラクターに特徴がない。ジャンルがわかりづらい。どこへ向かう話なのか見えづらい。このどれかが欠けたとき、つまらないと感じられてしまうことが多い。
もちろん役者の問題や演出が合わないなども考えられますが、冒頭は脚本力でかなりカバーできるはずです。最初の10ページは推敲を重ね、これしかないという冒頭を作ってください。

1幕のターニングポイントは主人公について起きているか?
1幕のターニングポイントは、主人公が日常から非日常へ進む瞬間だから、劇的であるほうがわかりやすい。けれど、劇的につくろうとすると、主人公について起きたことなのか、ドラマ全体に起きたことなのかわかりづらい時があります。ターニングポイントはあくまで主人公について起こり、他の作用があるにしても、最終的には主人公が決断して非日常へ飛び込む。

2幕のターニングポイントで、主人公に迷いはない!
2幕のターニングポイントで、主人公は他人の助けを借りず、自分の手で解決へ向かわなければならない。究極の選択をし、目的を解決するために前へ踏み出す決断をしないといけない。ここで、まだ主人公が迷っているようなら、締まりがない、だらけた作品に見えてしまう。主人公はまだ行動しないのかとイライラさせる。盛り上げるために、ためが必要なのだが、主人公がいつまでも迷っていて動かないと、ドラマは前に進んでいないので、良い”ため”ができてるとはいえない。

ミッドポイントの役割を理解しているか?
ミッドポイント(MP)以前と以後では、主人公が見ている景色は変わる。MP以前より以後は、目的の困難さが増しているはず。倒せそうだった敵は、パワーアップして迫ってくるし、障害のハードルは一段と上がり、障害の数も主人公と観客を休ませてくれないほど起こる。肉体も精神も普通ではいられず、もっと大きく急激な成長が主人公に求められる。主人公が変化せざる得ない究極の選択を何度も突きつけられ、逃げることも許されない状況にもっていくと、受動的な主人公も行動する。

クライマックスの役割を理解しているか?
3幕は、障害や葛藤を乗り越えて、解決へ向かうパート。その解決方法がキャラクター独自の世界観であると良作になる。重要なのは、主人公が1幕より変化しているか。簡単な例を上げると、『自分勝手で私利私欲のためだけに生きている人間』が『他人を愛し、他人のために生きる人間』になれたかどうかということだ。この変化の軌道をどう見せるかがアイデアになる。
多くは、目的を達成するために自己犠牲を払う、自分の殻を破るといった、自分にとってリスクある行動をする。それは容易にできるものではない。だからこそ葛藤を繰り返す。観客も不満が溜まりに溜まって、主人公がやっと決断し行動して解決できたとき、カタルシスが起こる。テクニックとして、カタルシス前に、「もうダメかー」と一旦落として、一気にバッと解決されると盛り上がり、解放感が増す。

ストーリーも構成もいいはずなのに、なんかつまらない場合は?
おそらく、主人公の行動力不足があげられる。受け身のキャラクターだとしても、動かざる得ない状況を作るのが作者の仕事。受け身のキャラクター色を出すには行動しながらでも様々な方法で出せるはず。じっとして動かないのが受け身ではない。他者の行動があれば、必ず反応をします。その反応(リアクション)に変化をつけ、またその反応が他者から返ってくるので、徐々に選択肢を絞り、行動せざる得ない返しを考えてあげれば、主人公は動き出す。
手っ取り早いのは、主人公が大切してるものを取り上げてしまうことです。そして弱点を突いて、突いて、突きまくる。

1幕が長くなってしまう場合は?
1幕、2幕、3幕のバランスは「1:2:1」の比率を守ったほうがいい。
1幕がどうしても長くなってしまう場合は、思いついたことを順序通りに書き過ぎてる。状況設定を1幕で伝え、観客に理解させる必要があるが、説明過多になりすぎていないか確認する。2幕の葛藤に繋がらないようなシーンやセリフは削る。あとは、設定や世界観、テーマ、キャラクター性を1つのシーンでまとめられるようなシーンが作れないか検討する。必ず方法があるはずです。1つのシーンですべてを象徴的に語れると、うまいホンだと思われます。

わかりづらい話とは?
まずストーリーを複雑にしないよう心がけてください。目的やテーマは、普遍的でシンプルに。
つのシーンで、2つ以上の情報を明らかにすることはほとんどありません。2つ以上の情報が含まれると、複雑すぎて、ストーリーの流れが悪くなり、混乱を招きやすくなります。自分だけがわかっているという状況が生まれてしまう。そのシーンはなんのためにあるのか、考えてから書いてください。

直しや削ることに躊躇しない!
映像作品は時間が決められています。特にテレビドラマは枠に収まらないといけません。文章を削ることに躊躇しないで、推敲では削って、削って、それでも伝えたい事が伝わる限界を探るようにしましょう。
まず確認するのは、無駄なト書きです。ト書きの部分は、必要以上に細かく書かない。脚本家は、それほど厳密にカメラワークは考えていないと思います。人物の行動の意味がわかるト書きであればOKです。
必要ない会話も削る。冷静になると、そんなこと普段話すか、というセリフを平気で書いています。それは、ストーリーを説明したいという脚本家の都合です。セリフの中で設定やバッググラウンドを長々と説明していないか、セリフでいう必要はあるのかどうか検討してください。
必要なシーンかどうかの見極め方は、ストーリーが前に転んでないのは必要がないシーンと考えていい。シーンを書くとき、そのシーンの目的、必要性、何が起きるのかを決めること。客観性を持つために、シーンに対して「なんで?」という疑問を持つようにするといいでしょう。答えられないようなら、そのシーンの必要性をつかめていないので削ります。

シーンというものの意味がわかってない
シーンというのは、”ビジネス取引”の場である。
シーンとは何かを知らない脚本家もおおぜいいて、ただ”キャラクターを組み立てる”ために、あるいは話の説明のために、シーンとは呼べないものを挿入してくる。シーンをどこから始め、どこで終わらせたらいいかわからずに、紹介やおしゃべりで時間を無駄にし、取引が終わったあともシーンを引きのばそうとする。シーンは取引なのだ。取引が終われば、舞台からおりなければならない。

物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術』という本に書かれています。
シーンの内容は、新たな取引に到達するための交渉であり、取引が成立すればシーンもそこで終わり。新しい取引がなければシーンもない。少なくともそういったシーンは、脚本上重要なものにはならない。カットしてもいいシーンとされるか、なんらかの重要な力の交換があるようなものに書きかえられれる。


とても重要な脚本のルールだと思いますので、ぜひ参考にしてください。

面白さとは何か?
面白さ=納得感です。作品自体の納得感、キャラクターの行動やセリフに対する納得感がないと面白いとは感じません。
「なるほど!」が、面白いのです。キャラクターを滑稽にするとか、セリフの言い回しが面白いとかではありません。
脚本家を目指すきっかけが、三谷幸喜さんや宮藤官九郎さんのようなコメディー作品だと、似たキャラクターで作品を作り、キャラクターの物言いやおとぼけぶりを真似しがちですが、それが面白いから三谷作品やクドカン作品が面白いのでは決してありません。彼らの作品も、キャラクターやストーリーの納得感が得られるから、観客は面白いと感じる。
自分はなぜその作品を面白いと感じたのかを分析し、その面白さを追求すると、その人独自の作家性が熟成されていくと思います。

自分でも何を書いてるんだか分からなくなった時は?
書くのを一旦止めましょう。そして信頼する人に見てもらうのがいいです。
おそらく家族や友人は、褒めてくれることの方が多いかもしれませんが、「強いて言えば、どこが面白くなかった?」などという聞き方をすれば答えてくれるかもしれません。2、3人に聞いて、同じところを指摘されるのであれば、間違いなく病巣はそこです。気に入っていても、頑固にならず直しましょう。
なお、当サイトにて、シナリオ添削のサービスをしています。ぜひご利用ください。あなたの作品の欠点がわかります。

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