イントロダクション

<イントロダクション・目次>
1.本当に脚本家になりたいですか?
2.脚本家の質、落ちてない?
3.やっぱり脚本家になりたい!

「本当に脚本家になりたいですか?」

「その映画、誰出るの? どんな話?」
多くの観客がまず気になるのは、キャストとストーリー(ジャンル)です。
「脚本、誰?」
作品の脚本家が気になる人は、同業者や脚本家志望、かなりの映画やテレビドラマ好きの人だと思います。
映画であれば、監督が気になる人もいるでしょう。けれど、あの脚本家だから絶対見ようという人は少ないはずです。映画やドラマの設計図を書くのはそもそも脚本家なのに、なぜ注目が低いのか?

脚本家は、小説家と違って、ジャンルに縛られません。
刑事モノをよく書く脚本家でも、時代劇やSFも書くし、コメディー、ラブストーリー、特撮も書きます。もちろん得意、不得意分野はあるけれど、仕事の話が来て、できそうなら引き受けるというのが脚本家稼業です。ゆえに、作品によって質がバラバラなのが現状かもしれません。だから脚本家で見ようという気にならないのもうなずけます。

また、必ずしも、脚本家の書きたいものが世に出ているわけではありません。もちろん中にはあります。脚本家名の冠がついたドラマなどがそうです。しかしそれも大御所中の大御所でしか今はありえない。
映画やテレビドラマは、多くの人間が関わり、多くの意向があって成立します。だから多くの新人脚本家は、現場に入って戸惑います。はじめに書いたものに、どんどんいろんな意向が入り、書きかえる必要がでてくるからです。まず、それを平気な顔で乗り越えられる性格でないと脚本家は務まりません。

もしあなたが脚本家になりたくて、でも書きたいものしか書きたくないのであれば、それは目指してるところが違うかもしれない。おそらく小説家の方が向いてるし、どうしても映画をやりたいのであれば、自主映画にこだわる方が良い。
脚本家は、町工場の職人に近いです。大企業から注文を受けて、それに応じて細かい対応と納期に追われながら、ギリギリの合格点を探り出す作業の繰り返しです。それが面白いと思えないと、楽しめない職業ですので、脚本家を目指す際は覚悟しておいたほうがいいです。あくまで、これが全てではないですが、脚本家のスタートはまずそういう地道なところから始まります。

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「脚本家の質、落ちてない?」

以前のテレビドラマは、時代の一歩前を走っていたと思います。時代を作っていたと言ってもいい。ドラマから、憧れの職業や恋愛観、仕事観、人生観などを見つけるきっかけになっていた。学校や職場で話題になるからドラマをチェックするということもよくありました。

しかし残念ながら、近年のテレビドラマは時代のスピードについていけず、時代の後を追っかけていると思われてもしかたがない。価値観の多様化に惑わされ、視聴率という指標もネット動画の台頭や録画機能の充実からグラグラになり、人気原作でも当たらず、最高キャストを揃えても手応えがないという事態が、制作陣を後手後手に回している。

では、作品として昔よりもレベルが落ちているのかと聞かれれば、それは違うと思います。
映像技術、脚本技術のレベルは確実に上がっています。(そうでなければ、世にあるシナリオスクールや映像学校はなにしてるんだって話です)
ただ、作品としてどうしても浅いと感じるものが多い。言い換えると、分かりやすい映画やテレビドラマばかりになってしまった。それが脚本家の質のせいなのかどうかというと、議論の余地があります。

おそらく多くの人は、脚本どおりに作品が仕上がってると考えているはずです。しかしそれは、先述したようにまったく違います。
脚本は、脚本家1人が書くのではありません。書くのは書くんですが、仕上がる過程で様々の人間の意見が入ります。脚本家が才能を搾り出して書き上げた初稿が、そのまま作品になることは99%ない。必ずプロデューサーの意見があり、テレビ局、制作会社、スポンサーの意向があり、役者や芸能事務所、原作者がいれば原作者や出版社の意見、そして監督の意見があって、作品が仕上がります。
そうなると、責任の所在が行方不明になります。脚本家の質なのかどうかも分かりにくいというわけです。

そういったこともあり、国内作品の低評価の原因の所在がどこにあるのか分からないまま、右往左往してるのが昨今の現状かもしれません。しかし、脚本家はその中でも、要求に応えながら最高の作品を生み出さなければならないと使命感を持ってやっているはずです。

「やっぱり脚本家になりたい!」

脚本家を目指す人に、必ず覚えておいてほしいのは、脚本家は初稿を書いて終わりではないということです。プロになって、多くの作業に費やすのが、”直し”とよばれる作業。
様々な意見に柔軟に対応できず、脚本を書きかえることが苦痛だと、脚本家は食べていけません。この直しに耐え切れず、業界を去る優秀な脚本家が多い。そういう方は、やはり小説のほうで活躍されるそうです。ある出版社の方も、元脚本家という肩書きの作家が増えている感じがすると言っていました。これは裏を返せば、脚本の勉強が小説に役立つということでもあります。

そこで、このサイトは、主に脚本家を目指したい方が、シナリオコンクール用に、さらには、プロの脚本家になった時、直しの作業に耐えられる初歩的な技術を教える、お勉強サイトとして提供していきたいと思います。
また、観客や視聴する側の方でも、脚本の基礎を知ることで、映画の見方が分かると思います。この映画はなぜこんな脚本になったのか、それはこういう部分が足りないからじゃないのか、など容易に発見できるようになるはずです。
さて、さっそく脚本のルールから学んでいきましょう!

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