受賞作をシナリオ分析

受賞作をシナリオ分析

簡単なシナリオ分析方法

1.シナリオを読む
自分が目指すコンクール受賞作は必ず目を通しておく。
受賞作は、月刊ドラマ月刊シナリオに掲載されます。

月刊ドラマや月刊シナリオのバックナンバーは、古本屋で購入できますので、都内であれば神保町の古本屋へGO!
オススメ書店は、
矢口書店
ヴィンテージ

2.ログラインを書く
ストーリーを1、2行で書き起こす。主人公の変化の軌道(メインプロット)に注目する。
主人公がどんな人物か、そしてどんな結末かを知る。

3.模写をする
受賞作を書き写します。20字×20行の形式で構いません。
模写すると、三幕構成の確認がしやすくなる。
プロや受賞作レベルの脚本の書き方を疑似体験できる。これは意外と大切なこと。

4.三幕構成の確認をする
・1幕で、セットアップできているか?
・第1ターニングポイントはどこか?
・サブプロットはあるか?
・ミッドポイントはどこか?
・第2ターニングポイントはどこか?
・クライマックスで問題が解決され、カタルシスはあったか?

5.セントラル・クエスチョン(CQ)がクライマックで解決できているか?
CQは、簡単にいうと、「はたして、主人公は、◯◯できるだろうか?」という物語の問いかけのこと。観客は、その問いかけを見届けることになる。
刑事ドラマや医療ドラマのCQは単純明快。
「はたして、杉下右京は犯人を捕まえることができるだろうか?」
「はたして、大門未知子は患者を救えるだろうか?」
この興味が持続するので、刑事ドラマや医療ドラマは最初から最後まで見続けることができる。

CQについて、『ハリウッド・リライティング・バイブル』(リンダ・シガー著)を引用すると、
<すべてのストーリーは、ある意味、ミステリーといえる。クライマックスで回答がなされるであろう問いかけをセットアップで行う。問題ごとや解決が必要な状況が紹介され、ストーリーを通し我々に問いかけてくるのだ。

「ジョン・ブックは殺人犯を捕まえることができるか」(『刑事ジョン・ブック/目撃者』)
「マーティンはサメを退治することができるか」(『ジョーズ』)

この問いかけはセントラル・クエスチョン(CQ)と呼ばれる。このCQは、設定されると共に、ストーリーで起こるすべての出来事と結びつけられる。ほとんどのCQはストーリーのクライマックスで「イエス」という答えが導き出されるだろう。けれども観客はエンドまで答えを知ることができない。答えを予測することはできるかもしれないが、答えが出るまでにいったい何が起きるだろうかと興味を持ち続けるのだ。>

以上、1〜3をやり、4と5を確認することができれば、そのシナリオを理解でき、自分の作品にも反映できるだろう。
ハリウッド作品を分析するのであれば、『映画タイトル(英題)』と『script』で検索すると、シナリオをダウンロードできるページにたどり着ける。日本と違い、シナリオをオープンにしてくれているのは学ぶ者としてはありがたい。
また、映画やドラマを観ながらでもシナリオ分析は可能である。
映画を観ながら、どうやってするのかといえば、それはもう書き起こすしかない。
最新作など劇場でする場合は、映画館にメモ用紙を持って(周りに迷惑をかけないように!)、ポイントと時間を記し、上映後は忘れないうちにログラインと三幕構成に落としていく。
DVDなどのソフトがあれば、一時停止しながら、全て書き起こすことができる。
こういうことを十年くらいやっていると、シナリオ分析は自然とできるようになるはずである。

<シナリオ分析についてもっと詳しく学びたい方は、下記書籍がオススメ!>


スクリプトドクターの脚本教室・初級篇
三宅 隆太 (著)


ストーリーアナリスト―ハリウッドのストーリー分析と評価手法
ティ・エル カタン (著)

「テレビ朝日新人シナリオ大賞」について

2015年、久しぶりに応募ページをのぞいたら、応募方法に変更がありました。
ジャンルが3つになりました。

↓↓↓↓↓↓↓↓—————————–
〔テーマ・ジャンル〕
テーマは自由。
ワクワク、ドキドキ、ハラハラするような新しい才能を、下記の3ジャンルで募集します。
1.テレビドラマ
2.オリジナル配信ドラマ
3.映画
(ただし未発表のオリジナル作品に限ります。原作の脚本化、及び他コンクールに応募・受賞した作品は不可とします。)

詳細は下記サイトでご確認ください。
テレビ朝日新人シナリオ大賞
http://www.tv-asahi.co.jp/21shinjin/
—————————————-

とのことで、コンクールに出し続けてる人にとっては若干の衝撃があったでしょうか。
しかし、そんなに驚くようなことではないですね。
むしろ私ならラッキーだなと思う。選択肢が広がっていいです。
1時間で完結する話って、けっこう難しいんですよ。
だから特に、2のオリジナル配信ドラマなんて挑戦しがいがありますね。まだ局側も、これという型(パッケージというか?)はなさそうなので、自由な発想をぶつけられるのがいいです。
こういった変更は、おそらく選考員を驚かせるような発想を応募者に期待しているのではないでしょうか。

ただ、賞金が下がるのがかなしいなぁ。800万は魅力的でした。
しかし、以前から噂ではもうやめようかという話があったそうなので、多少形を変えてコンクールが残ったのは喜ばしいと思います。
ぜひ応募者には、思い切った作品で望んでほしいです。

そうはいっても、いったい受賞するにはどういったものを書けばいいのかと頭を悩ませる人がいるかと思います。
これを書けば、必ず受賞しますというのがあれば、私も教えてもらいたい。どこをどう調べてもそんなものはありません。
が、毎年受賞作はあるわけです。その分析をするのが手っ取り早い。
そこで、過去の受賞作を取り上げ、シナリオ分析をしたいと思います。

取り上げるのは、受賞し、その後も脚本家として活躍している人がいいかなと考え、テレビ朝日新人シナリオ大賞輩出者の成功者といえば、みんな大好き、”古沢良太”さんの受賞作『アシ!』を取り上げ、分析したいと思います。

月刊ドラマ 2002年7月号
第2回テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞受賞作『アシ!』
受賞者:古沢良太
(月刊ドラマ 2002年7月号掲載)

『アシ!』のシナリオ分析を見る→→→→→
※あくまで私なりの分析です。選考委員の方の意見とは違います。なぜその作品が、受賞作レベルなのかを理解しようという考えでやっております。
『アシ!』のシナリオは、月刊ドラマ 2002年7月号に掲載があります。

「フジテレビヤングシナリオ大賞」について

ネットからの応募になりましたね。詳細は下記サイトでご確認ください。
フジテレビ ヤングシナリオ大賞
http://www.fujitv.co.jp/young/

脚本家に絶対なりたい方にオススメのコンクールが、ズバリ!このヤンシナです!
理由は単純。多くの大賞受賞者がその後、脚本家として活躍してるケースが多いからです。
これはなぜなのかというと、おそらくですが、長いヤンシナの歴史の中である程度新人の使い方(起用の仕方)、育て方を知っているのだと思います。
それと新人の経験不足をプロデューサーやディレクターがカバーできる体制があるのかもしれません。プロットや構成をきちんと考えられたり、脚本を書けるということです。じゃあ新人は何をするのかというと、セリフですね。セリフが書けなければ、その人を起用する理由がありません。
そう考えると、ヤンシナ応募者ががんばって磨かなければいけない技術は、セリフ力ということになるでしょうか。

ただ、順調にその方が育つか、育たないかは、プロデューサーやディレクターとの相性次第かもしれません。あちらに作家を育てる気があっても、相性が合わなければお互いのためにならず、そのうち疎遠になる。そういった理由でその後活躍するかしないかは分かれていきます。これは他のコンクールにもいえることで特別なことではありません。

だからヤンシナは、一人1作品というわけではないので、いろんなジャンルの作品を量産して提出するといいでしょう。きっとあなたの感性に響く方が現れるはずです。

ただし、求められる作家性は他のコンクールよりも難易度が高いかもしれません。
脚本の完成度よりも、アイデアの独自性、オリジナリティーが重要です。何かの二番煎じ、既視感があるものは必ず弾かれる。
それでも好まれるアイデアの傾向はあるかもしれません。
第17回と27回のアイデアは、”特別な能力使いが問題を解決し成長する”で大賞に選ばれています。その選考通過理由に共通点があったので、第17回の受賞作『超能力戦隊エスパーズ』を分析したいと思います。

2005年9月号月刊ドラマ
第17回フジテレビヤングシナリオ大賞受賞作『超能力戦隊エスパーズ』
受賞者:古谷俊尚(古家和尚)
(月刊ドラマ 2005年9月号掲載)

『超能力戦隊エスパーズ』のシナリオ分析を見る→→→→→
※あくまで私なりの分析です。選考委員の方の意見とは違います。なぜその作品が、受賞作レベルなのかを理解しようという考えでやっております。
『超能力戦隊エスパーズ』のシナリオは、月刊ドラマ 2005年9月号に掲載があります。